畳のへり(畳縁)を踏んではいけない理由とは

「畳の縁にあるものは何?」「畳のへりはどんなデザインがある?」「へりだけを変えたい」などと感じる方は少なくないのではないでしょうか?畳のへりは、畳表の角の摩擦を軽減するために、また畳を敷き合わせる際に生じる隙間を埋める役割があります。

今回は、畳のへり(畳縁)について、踏んではいけない理由や選び方などのポイントを徹底解説します。

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住宅設備協同組合

東京、神奈川、大阪、兵庫エリアで年間1000件以上の実績を誇る住宅設備協同組合。神奈川県許認可法人(神奈川県指令企支第3453号)、大阪府許認可法人(大阪府指令経支第1061-28号)。リフォームの専門家として、水回り(キッチン、浴室、トイレ)、和室工事、外壁、屋根まで広く深くをモットーにリフォームに関するお役立ち情報を発信。

畳のへりを踏んではいけない理由

ここでは、畳のへり(畳縁)を踏んではいけない理由5選を詳しく解説していきます。

畳が傷むのを防ぐため

畳のへりは繊細な素材で構成されています。もともとは植物染料で染められ、色あせやすく、耐久性が低いため傷みやすいという特性がありました。

畳を長持ちさせるためには、傷みやすいへり部分を踏まないように注意が必要でした。

しかし、現代では耐久性に優れた丈夫な畳が多く市場に出回っているため、昔ほどへりに気を配る必要はありません

躓かないようにするため

畳のへりは、畳同士を接合する部分です。時間が経つと畳は浮き上がったり段差ができたりして、へり部分がうまく合わず、凸凹した状態になることがよくあります。

そのため、へり部分を踏んでしまうとつまずいたり危険な状況になることがあります。特に、お茶を入れたお盆などを運ぶときは注意が必要です。

このようなリスクを避けるために、昔からへりを踏まないように歩くことが重要視されてきました。

侮辱と見なされてしまうため

紋縁(もんべり)は、家紋が施されたへりの一種で、武士の屋敷などで広く使用されてきました。

紋縁には家紋があしらわれており、家の象徴として重要視されました。家紋を踏むことは家に対する侮辱と見なされ、無礼な行為とされました。

このような家の格式を尊重する武士の時代の思想が、現代においても受け継がれています。

上座と下座を分けているため

日本では昔から、上位の立場の人が上座に座り、下位の者が下座に座るという習慣があります。

和室では、奥側が上座で手前側が下座というルールがあり、畳のへりが両者の境界線として機能しています。

へりを踏んでしまうと、上座にいる位の高い人への礼を欠くことになり、格式に反する行為と見なされます。そのため、礼儀としてへりを踏むべきではないとされてきました。

身を守るため

武士の時代には、畳の間から槍や刀が突き出され、床下から攻撃が行われることがありました。

そのため、自身を守るためにはへりを踏まない方が安全でした。

へりを踏まないことによって、刃物が刺さることを避けるだけでなく、光や音が漏れて自分の位置が相手に知られないようにすることも目的でした。

畳のへりとは

ここでは、畳の縁を補強するために付けられている布である畳縁についてを解説していきます。

畳のへり(畳縁)とは?

「畳のへり」というのは、畳の周囲に布の帯を取り付けて補強する部分で、「畳縁(たたみべり)」と呼ばれます。

へりを付けることで、畳表面のイ草が直接擦れて傷むのを防ぐことができます。これによって、畳同士を網目のように連結することができます。

また、ヘリには着物の帯のような様々な模様や色があり、畳に個性的な装飾を施す役割もあります。

こちらの記事では、畳のリフォームについて詳しく解説しています。

【素材別】畳の張り替えリフォームの費用と交換時期

畳のへりの種類の選び方

畳縁のデザインは、和室全体の印象に大きな影響を与えます。自分の好みに合ったデザインを選ぶことが重要ですが、「どのような種類があるのかよくわからない」という方もいるかもしれません。

畳縁の種類を決める際には、畳の専門店に相談することをおすすめします。

畳の専門店では、様々なデザインの畳縁を取り扱っており、お部屋のイメージに合うものを選ぶことができます。専門店のスタッフは経験豊富で、お客様のニーズや好みに合わせて最適な畳縁を提案してくれます。

住宅設備協同組合では、お風呂やキッチンだけでなく、和室のリフォームにも長けています。ぜひ施工事例をご覧ください。

施工事例 施工事例

畳のへりの色柄

繧繝縁

「繧繝縁(うんげんべり)」は、天皇・三宮・上皇が使用する畳に使われる最も格式の高いへりです。

この種類のへりには、朱色、青色、緑色、紫色などの鮮やかな色が使われ、伝統的な文様としてひし形や花菱などが施されています。

高麗縁

「高麗縁(こうらいべり)」は、親王・摂関・大臣などの上級職に就く人々が使用する畳に施されるへりです。このヘリは白地に黒色でシンプルな色合いであり、雲や菊の花などの文様があしらわれています。

「高麗縁」には、「大紋高麗縁」と「小紋高麗縁」の2つの種類があり、それぞれ異なる役職で使用されていました。現在でも神社仏閣や茶室などで「大紋高麗縁」を見ることができます。

紫縁・黄縁

聖徳太子の時代に作られた位階制度の中で、「殿上人」という称号を持つ四・五位の人々が使用したのが「紫縁(むらさきべり)」でした。殿上人は、天皇が滞在する清涼殿の殿上間という場所に上がることを許されている、非常に高い位の人々でした。

一方、「黄縁(きべり)」は、紫縁よりも低い六位以下の人々が使用したへりでした。

畳のへりの選び方

畳縁には多くの種類が存在しますが、基本的には自由にお好みのものを選ぶことができます。

ここでは、畳のへりの選び方を「色」「柄」「素材」に分けてご紹介します。

畳縁の色を選ぶ際には、部屋の壁紙や襖などとの調和を考えると、自然な馴染みが生まれるでしょう。和室を優しい雰囲気にしたい場合は淡い色、凛とした雰囲気にしたい場合は濃い色を選ぶと良いでしょう。

理想のイメージに合わせて、色の効果を上手に活用してみましょう。

  • 青色:集中力を高めたい、和室の雰囲気を引き締めたい。
  • 緑色: リラックス効果を求めたい、部屋を明るく見せたい。
  • 黄色: 健康的で明るい印象を作りたい。
  • 赤色: 華やかで高級感のある和室にしたい。
  • ピンク色: 優しい雰囲気を演出したい、可愛らしい和室にしたい。

それぞれの色の特性を活かしながら、理想のイメージに合わせた選択をしてみましょう。

もし日焼けやシミを目立たせたくない場合は、柄の入った畳縁を選ぶと良いでしょう。

畳縁の柄には、家紋が入った伝統的なデザインや、花柄で可愛らしいもの、子供たちが喜ぶキャラクターが描かれたものなど、様々な種類があります。

畳縁の柄を決める際には、カタログの写真だけで判断するのではなく、実物を直接見て確認することが重要です。実際に手に取って見ることで、柄の具体的な印象や色合いを確認できます。

その上で、日焼けやシミが目立たない柄を選ぶと、長く美しい状態を保つことができるでしょう。

素材

畳縁の素材には、綿や麻、化学繊維(ポリエステル、ポリプロピレンなど)などがあります。素材によって耐久性や手触り、価格が異なるため、求める機能や予算に応じて選択することが重要です。

自然素材ならではの心地よい手触りや高級感を重視する場合は、綿や麻の畳縁がおすすめです。

色柄のバリエーションを楽しみたい方や耐久性を重視する方は、化学繊維の畳縁を選ぶと良いでしょう。

畳縁を選ぶ際には、自分の好みや使い方に合った素材を選びましょう。それによって、畳縁の長期的な使用や満足度を高めることができます。

畳のへり(畳縁)まとめ

畳のへりを踏んではいけない理由は、傷むのを防いだり昔からの習慣などがあります。部屋の内装や和室の襖などに合わせた畳縁もあるため、デザインの幅が広いのが特徴です。また、素材もたくさんあるので自分に合ったものを選べるでしょう。
畳をリフォームをする際には、しっかりと計画を立てて、信頼できる業者を選び、費用や工期などご自身の希望に合ったプランを提案してもらうとよいでしょう。
暮らしやすい和室を実現するために、畳のへりのリフォームを行いましょう。畳のリフォームのことなら、県知事認可法人の住宅設備協同組合にお任せください