
トイレの換気扇が動かない状況になることは稀ですが、ひとたび不具合が起きてしまうと案外困るものです。
換気扇の不具合の原因は、フィルターの汚れやモーターの劣化、内部配線のトラブルなどさまざまです。正しい手順で掃除すると症状が改善するケースもあるため、まずはフィルターにほこりが蓄積していないかを確認しましょう。
本記事では、トイレの換気扇が動かない原因とその対処法、交換を検討すべきケースを解説します。
【この記事で分かること】
- トイレの換気扇が動かない原因はさまざまだが、まずは掃除で症状が改善するかどうかを確認する
- 掃除しても動作不良が続く場合、本体や電気系統の故障が考えられるため、交換を検討する
- 賃貸物件で換気扇の不具合が発生した場合、管理者に報告する必要がある

住宅設備協同組合
東京、神奈川、大阪、兵庫エリアで年間1000件以上の実績を誇る住宅設備協同組合。神奈川県許認可法人(神奈川県指令企支第3453号)、大阪府許認可法人(大阪府指令経支第1061-28号)。リフォームの専門家として、水回り(キッチン、浴室、トイレ)、和室工事、外壁、屋根まで広く深くをモットーにリフォームに関するお役立ち情報を発信。
トイレの換気扇が動かない原因とは? 考えられる5つのケース

まずは、トイレの換気扇が動かない原因を5つ紹介します。
内部のフィルターにほこりが蓄積している
換気扇内部のフィルターにほこりが蓄積していると、電源を付けても作動しない場合があります。
具体的には、トイレットペーパーの繊維くずやトイレマットから発生する細かなほこりがフィルターに付着し、徐々に目詰まりが進みます。ほこりが内部フィルターに蓄積すると、中のファンがうまく作動しなくなり、電源を付けても作動しなくなるケースがあります。
湿度の影響でさびが発生している
トイレや浴室などの水回りは湿度が高くなりやすく、換気扇内部の金属部品にさびが付着しやすい環境です。金属にさびが発生するとファンの動きが鈍くなり、回転が鈍くなるだけでなく、完全に停止する場合もあります。
そのまま使用を続けるとモーターや配線にまでさびがおよび、発火につながる危険性があります。異音がする・回転が重いなどの兆候が見られる場合、早めに業者に状況を見てもらいましょう。
電源やスイッチが故障している
電源部分やスイッチが故障すると、換気扇本体に問題がなくても作動しなくなる可能性があります。
例えば、最初は問題なく作動していたのに後からファンが回転しなくなったり、電源をオフにしても止まらなくなったりするケースです。この場合、単に掃除するだけでは改善しません。
スイッチ内部の接点トラブルや配線の断線が原因の可能性があるため、電気工事士による点検を検討しましょう。
内部配線や基盤が故障している
内部配線や基盤が故障すると、途中でファンが回らなくなる可能性があります。このような電気回線不良は、ほこりの蓄積やさびの進行などが主な原因です。あるいは配線に水が飛び、ショートしている可能性も考えられます。
内部部品の交換や配線修理は高度な作業に当たるため、無理に分解せず専門の電気工事士に相談しましょう。
本体の経年劣化が進んで寿命を迎えている
換気扇が寿命を迎えているのも、本体が作動しなくなる原因の一つです。
換気扇の耐用年数はメーカーによって異なりますが、一般的に10年から15年とされています。そのため、長年使用し続けていると内部の部品やモーターが劣化し、動かなくなる可能性があります。
トイレの換気扇は、基本的に365日24時間稼働している設備です。日々の稼働で劣化が進んでおり、耐用年数を過ぎている場合、本体交換を検討しましょう。
対処する前に! トイレの換気扇の種類を理解しよう
トイレの換気扇には複数のタイプがあり、構造によって対処方法が異なります。主な種類は「パイプファン」と「ダクトファン(天井埋め込み型)」の2つです。
ここでは、それぞれがどのような仕組みで稼働しているのかを解説します。
パイプファン
パイプファンは、トイレの壁に取り付けられる小型の換気扇です。壁にパイプを通して外へ空気を排出する仕組みで、トイレや洗面所などの狭い空間に取り付けられます。
内部にはプロペラファン(扇風機のような羽が付いている)やターボファン(筒状で羽が後ろ向き)が採用されており、構造が比較的シンプルなのも特徴です。
ダクトファン(天井埋め込み型)
ダクトファンは天井裏に本体を設置し、ダクトを通じて屋外へ空気を排出するタイプの換気扇です。
ダクトファンには、シロッコファンが取り付けられているのが一般的です。シロッコファンとは、円筒状の部品に細かな羽根が多数並んだ構造のファンを指します。
パイプファンと同じく部品の取り外しができますが、中にはファンを取り外せないものも存在します。
トイレの換気扇が動かないときの対処法【6ステップ】

トイレの換気扇が動かない場合、明らかな本体の故障や電源トラブルが見られなければ、まずは内部に蓄積したほこりを取り除きましょう。
ここでは、換気扇の動作不良を改善する方法を6ステップで解説します。
【事前準備】換気扇掃除に必要なものを用意する
まずは、トイレの換気扇掃除に必要な以下のものを用意しましょう。
- マスク
- ゴム手袋
- 掃除機
- 乾いたタオル(雑巾でも可)
- ドライヤー
- 中性洗剤
- スポンジ
- 脚立
- ドライバー
- 歯ブラシ
- ごみ袋(2枚)
換気扇は壁や天井など高い所に設置されているため、脚立を使用する際は安全に留意しましょう。
1. 換気扇の電源をオフにする
まずは、換気扇の電源をオフにしましょう。電源をオンにしたまま作業すると、感電やけがにつながる可能性があります。ゴム手袋とマスクを装着し、汚れ対策をした上で電源をオフにしましょう。
またブレーカーをオフにしておけば、万が一家族がスイッチを操作して電源が入ってしまった場合でも誤作動を防げます。掃除の前に電源とブレーカーの両方を停止し、安全を確保してから作業に入りましょう。
2. 換気扇のカバーを取り外す
次は、脚立に乗って換気扇のカバーを取り外します。基本的なやり方としては、カバーを下方向に引っ張る、またはドライバーでねじを緩めると外せます。固くて外れない場合は、無理をせず簡単な拭き掃除にとどめましょう。
なお、掃除機でカバーの表面のほこりを吸っておくと、床にほこりが落ちにくくなり、作業しやすくなります。
3. ファンを取り外す
カバーを取り外したら、内部のファンを取り外します。換気扇の構造によって取り外し方が異なるため、タイプごとの方法を確認しながら進めましょう。
プロペラファンの取り外し方法
プロペラファンを取り外す際は、まずファンの中心部にねじやナットなどの留め具があるかを確認しましょう。留め具が確認できれば、羽根を手で押さえながら固定部分を緩めれば取り外しができます。留め具がない場合、羽根を下にゆっくり引き抜けば取り外せる可能性があります。
シロッコファンの取り外し方法
シロッコファンを取り外す際は、最初にベルマウスと呼ばれるドーナツ型の部品を外しましょう。ベルマウスはねじなどの留め具を緩めれば取り外しできますが、中にはファン自体を取り外せないタイプもあります。
シロッコファンを取り外せない場合、中性洗剤を付けたタオルで羽根の表面を丁寧に拭き取りましょう。その後はタオルで水拭きと乾拭きを行い、十分に乾燥させます。
故障や感電の危険があるため、換気扇内部に水がかからないよう注意してください。ファンが乾いたらカバーを元に戻して、症状が改善されているかを確認します。
ファンを無理に外すと部品が破損する可能性があるため、できる範囲で汚れやほこりを除去しましょう。
4. ファンの汚れを重曹や歯ブラシなどを使って除去する
次に、取り外したファンの汚れを除去します。中性洗剤をスポンジに付けてきれいにしましょう。細かいところは歯ブラシでこすると、汚れが落ちやすくなります。
より丁寧に掃除するのであれば、重曹水に浸してから汚れを除去するのがおすすめです。やり方は、まず取り外したファンをごみ袋(2枚重ね)に入れ、重曹をふりかけます。ぬるま湯(40度〜50度)を部品が浸るくらいまで注ぎ、1時間程度放置しましょう。浸け置き後は、歯ブラシや柔らかいスポンジで汚れをこすり落とします。
いずれの方法でも、汚れを落としたら水ですすぎ、陰干しでしっかりと乾かしましょう。水分が残ると故障やカビの原因になるため、完全に乾かしてから取り付けることが重要です。
5. カバーの汚れ・換気扇内部を除去する
ファンの掃除が終わったら、カバーと内部の汚れを取り除きます。カバーはファンと同じく、中性洗剤をスポンジに付けて汚れを落としましょう。水で洗い流した後は陰干しでよく乾かします。
換気扇の内部は、蓄積したほこりを掃除機で吸い取ります。その後、乾いたタオルや雑巾で乾拭きを行いましょう。
内部には電気系統に関わる部品が取り付けられているため、水をかけると感電につながります。けが防止のためにも、水気は厳禁です。乾拭きで汚れやほこりを除去しましょう。
6. 元に戻して症状が改善しているか確認する
掃除が完了したら、取り外した部品を元の位置に戻し、電源を入れて換気扇が正常に動くかどうかを確認しましょう。症状が改善しない場合、本体の故障が考えられるため交換を検討しましょう。
賃貸物件でトイレの換気扇が動かないときの対応方法
賃貸物件のトイレの換気扇が動かない時は、まずは内部の部品を掃除して症状が改善するかを確認しましょう。もし改善しない場合は、大家さんや管理会社にすぐに連絡しましょう。
以下で、具体的な手順や自己判断による修理のリスク、報告の重要性を確認しましょう。
換気扇の掃除で動作不良が改善するかを確認する
まずは、先ほど紹介した手順で換気扇を掃除し、動作不良が改善するかどうかを確認しましょう。電源が付かない場合、ブレーカーが落ちていないか、コンセントが外れていないかを確認してください。
トイレの換気扇が動かなくなる原因として、内部フィルターへのほこりの蓄積がよく見られます。まずはほこりを取り除き、正常に動作するか確認しましょう。
改善しない場合は大家さん・管理会社に連絡する
掃除をしても換気扇が動かない場合、内部の故障が考えられます。自力で分解するとトラブルにつながる可能性があるため、早急に大家さんや管理会社に連絡しましょう。経年劣化が原因であれば、管理者側で修理・交換対応するのが一般的です。
ただし、入居者の故意や過失による故障と判断された場合は、修理費用を負担しなければならないこともあります。状況が判断できないときは、自己判断で作業を進めず、最初に大家さんや管理会社へ相談し、対応方法を確認しましょう。
トイレの換気扇交換が必要な3つのサイン
以下のトラブルが発生している場合、掃除や応急対応では根本的な改善が見込めない可能性があります。リフォーム業者や電気工事業者などに相談し、本体の交換を依頼しましょう。
- 換気扇から異音がする(ジーッ・カタカタなど)
- 作動しているものの吸い込みが悪い
- 途中で電源が切れる
換気扇から異音がする(ジーッ・カタカタなど)
換気扇から異音がする場合、モーターが故障している可能性があるため、本体交換を検討しましょう。
例えば「ゴー」や「キュルキュル」といった音は、ほこりの付着やファンの潤滑不足が原因となっている場合があります。この場合、フィルターの掃除や潤滑油の塗り直しで症状が改善する可能性があります。
一方で「ジーッ」「ジジジ」と異音が鳴っている場合、モーターにさびが広がって動作不良を起こしている可能性があるため注意しましょう。「カタカタ」「カラカラ」と聞こえる場合も、モーターで何らかのトラブルが起こっている可能性があります。
内部の故障は自力で対応するのが難しいため、業者に連絡して本体を交換する必要があるかどうかを確認しましょう。
作動しているものの吸い込みが悪い
換気扇が回っているにもかかわらず吸い込みが弱い場合、フィルターやファンにほこりが蓄積している可能性があります。
吸い込みの状態を確認する際は、ティッシュペーパーを吸い込み口に近づけ、貼り付くかどうかをチェックしましょう。ティッシュペーパーが貼り付けば気流が発生していますが、下に落ちる場合は吸い込みが不十分です。
その際は掃除を行い、改善しない場合は内部部品の劣化やダクトの詰まりが疑われるため、点検や交換を検討しましょう。
途中で電源が切れる
ブレーカーをオンにしても改善しない場合、電源やスイッチ、モーターの故障が考えられます。経年劣化で換気扇が寿命を迎えている可能性があるため、トイレ空間を清潔に保つためにも、早めに交換を検討しましょう。
トイレの換気扇が動かないときは交換を検討しよう
トイレの換気扇が作動しない、異音がする、途中で止まるといった症状は、ほこりの蓄積やモーターの劣化などが主な原因です。掃除後も動作不良が改善しない場合、内部の部品や本体が故障している可能性があります。早めに業者に状態を確認してもらい、必要に応じて交換を検討しましょう。
トイレの換気扇が動かなくて困っている方は、神奈川県住宅設備協同組合にご連絡ください。専門スタッフが現地で状況を確認し、交換や修理に早急に対応いたします。各補助金制度のご案内もできますので、まずはお気軽にご相談ください。
住宅設備協同組合グループ














