節水型トイレのメリットや従来型との水道代の違い、リフォーム費用を解説

節水型トイレのメリットや従来型との水道代の違い、リフォーム費用を解説

トイレは毎日使うものだからこそ、水道代の高さに悩む方も多いのではないでしょうか。従来型では年間の水道代が高くなりやすく、家計に負担をかける可能性があります。

このような問題を解決する方法として注目されているのが、少ない水量でもしっかり流せる節水型トイレです。最新モデルは水道代を抑えるだけではなく、掃除のしやすさや省エネ機能も備えています。

本記事では、節水型トイレの仕組みやメリット、デメリット、リフォーム費用を分かりやすく解説します。

【この記事で分かること】

  • 節水型トイレは6L程度、もしくはそれ以下の水量で流せるトイレ
  • トイレを節水型にすることで、水道代だけではなく電気代や掃除の手間も削減できる
  • 節水型トイレの設置費用は従来型より高額になりがちなため、予算の見通しを立ててから導入すべきか考えた方が良い

この記事の著者

住宅設備協同組合

東京、神奈川、大阪、兵庫エリアで年間1000件以上の実績を誇る住宅設備協同組合。神奈川県許認可法人(神奈川県指令企支第3453号)、大阪府許認可法人(大阪府指令経支第1061-28号)。リフォームの専門家として、水回り(キッチン、浴室、トイレ)、和室工事、外壁、屋根まで広く深くをモットーにリフォームに関するお役立ち情報を発信。

節水型トイレとは従来よりも少ない水量で流せるトイレのこと

節水型トイレとは、従来よりも少ない水量で流せるトイレのことです。

1996年頃の大便器の一回当たりの洗浄水量は、13L程度とされていました(※)。これに対し、現在主流になっている節水トイレは一回当たり6L程度、もしくはそれ以下の水量で流せるように設計されています(※)。

最新モデルの中には、床排水モデルで大3.8L/回、小3.0L/回で流せるタイプも登場しています。

節水型トイレは、経済的なメリットに加え、環境負荷を減らせる点から新築住宅だけではなくリフォームでも導入されているエコ設備です(※)。

※参考:一般社団法人 日本レストルーム工業会.「大便器の節水・CO2削減-トイレでエコ」

節水型トイレの仕組み【なぜ節水できる?】

節水型トイレが少ない水量でもしっかり流せるのは、サイフォンの原理を利用しているからです。サイフォンの原理とは、水で満たした管の一方を高い位置、もう一方を低い位置につなぐと、水が自然に低い方へ流れる現象のことです。この仕組みにより水圧を効率よく利用し、少ない水でも強い勢いで排水できるよう設計されています。

具体的には、レバーを回すと水が一気に流れ込み、その勢いで便器内の水位が上がります。排水管より高い位置まで水位が上がると、排水管内でサイフォンの原理が働き、便器内の汚物を下水に引き込んで流す仕組みです。

トイレを節水型に交換・リフォームするメリット

トイレを節水型に交換・リフォームするメリットは、以下の3つです。

  • 水道代を抑えられる
  • 電気代の節約が期待できる
  • 汚れが付着しにくいため掃除しやすい

水道代を抑えられる

節水型トイレに交換・リフォームすると、水道代の節約が期待できます。

それでは、以下の条件を基に、従来のトイレと節水型トイレで水道代がどのくらい変わるのかをシミュレーションしてみましょう(※)。

家族構成4人
1日当たりの使用頻度大:1回/人・日
小:3回/人・日
水道料金265円/㎥
従来型トイレの一回当たりの洗浄水量大小共通で13L/回
節水型トイレの一回当たりの洗浄水量大:6L/回
小:5L/回

「省エネ・防犯住宅推進アプローチブック」によると、従来のトイレの一回当たりの洗浄水量は、大・小共通で13Lと明記されています(※)。これを4人家族で1日、大を1回、小を3回使用した場合、1日当たりの使用量は208L(0.208㎥)です。

  • 13L×16回=208L(0.208㎥)

従って、水道料金は「0.208㎥×265円」で約55円/日になり、年間に換算すると約2万円になります。

一方、節水型トイレの1日当たりの水道使用量は、以下のように計算します。

  • 大:6L×4回=24L
  • 小:5L×12回=60L
  • 合計:84L(0.084㎥)

従って、水道料金は「0.084㎥×265円」で約22円/日になり、年間に換算すると約8,000円です。従来型トイレの約2万円/年と比べると、年間で約1万2,000円の節約が期待できます。

実際には、家族構成や使用回数、製品によって水道代に差が出ますが、従来の13L/回のトイレよりも経済的なメリットを感じられるでしょう。

※参考:省エネ・防犯住宅推進委員会.「省エネ・防犯住宅推進アプローチブック」.”4-1省エネリフォームテクニカルデータ”.”②便器”

電気代の節約が期待できる

節水型トイレは、水道代だけではなく電気代の節約にもつながります。

最新型のモデルには、人の動きを感知するセンサーが搭載されており、使用時だけ便座を暖める機能が導入されています。1日中便座を暖めると待機時の保温電力がかかりますが、最新モデルに切り替えることで保温電力が抑えられ、電気代の節約が可能です。

その他にも、トイレの使用頻度が少ない時間帯は、便座の温度を自動的に下げてくれる機能が搭載されているタイプもあります。

電気代や水道代が節約できれば、日々のランニングコストを抑えられ、浮いた分を貯蓄やレジャーなど別の目的に回せるのも大きなメリットです。

汚れが付着しにくいため掃除しやすい

節水型トイレは、便器内に汚れが付着しにくいため、掃除の手間を減らせます。

最新型モデルの中には、便器の表面に特殊加工を施し、汚れが付着しにくい仕様にしたものもあります。このようなモデルは、軽く拭くだけで汚れが落とせる点がメリットです。

また、従来のトイレは縦方向に水が流れますが、節水型トイレは渦を巻くように水が流れるため、少量の水で効率よく汚れを落としてくれます。

さらに、タンクレストイレに交換すれば、タンクと壁のすき間にたまっているほこりや汚れを簡単に拭き取れるようになります。

トイレを節水型に交換・リフォームするデメリット

トイレを節水型に交換・リフォームする場合、以下のデメリットを考慮する必要があります。

  • 従来型より製品本体の値段・リフォーム費用が高い
  • 少ない水量で流せる分詰まりやすい

従来型より製品本体の値段・リフォーム費用が高い

節水型トイレは、従来型より製品本体の値段とリフォーム費用が高い傾向があります。費用が高額になりがちなのは、従来のトイレより高性能な機能や素材、設計を採用しているためです。

本体交換だけではなく、床や壁紙をリフォームしたり、窓を設置したりする場合は、さらに費用が高くなる傾向があります。

相場は業者やメーカー、選ぶモデルによって異なりますが、数十万円程度はかかると見積もった方が良いでしょう。節水型トイレを設置する際は、予算を決めた上で本当に必要な機能が搭載されているモデルを選びましょう。

詳しい費用は、記事の後半で解説しているため、そちらも併せて参考にしてみてください。

少ない水量で流せる分詰まりやすい

少ない水量で流せて節水につながる点はメリットですが、その分詰まりやすい点に注意しましょう。

例えば、通常の量のトイレットペーパーなら問題なく流れますが、必要以上に流した場合は水の勢いが足りず、詰まりの原因になる場合があります。

また、排水管の勾配があまりない場合、水の流れが悪くなり、排水管内で詰まりが起こる可能性があります。節水型トイレを快適に使い続けるためには、使い方を工夫して詰まりが起こらないようにしましょう。

トイレを節水型に交換・リフォームするときの注意点

トイレを節水型に交換・リフォームする際は、以下の点に注意して製品を選びましょう。

  • 水圧が足りなければ設置できない可能性がある
  • 排水方式の違いを確認する必要がある

水圧が足りなければ設置できない可能性がある

水圧が足りない場合、そもそも節水型トイレを設置できない可能性があります。

従来のトイレは、タンクにためた水を一気に流すことで勢いを出していました。しかし、節水型トイレは少ない水量でも流せるよう、水道の水圧を利用して排水する仕組みです。そのため水圧が不足している住宅では、汚物が流れにくくなるため、設置自体が難しいケースがあります。

設置を検討する際は、事前に水道の水圧を測定し、基準を満たしているか確認しておくことが重要です。

排水方式の違いを確認する必要がある

節水型トイレを設置する際は、住宅の排水方式を確認する必要があります。

一般的な戸建て住宅では、床下に向かって排水する床排水が主流です。一方で、マンションや一部の住宅では、壁側の排水管に排水する壁排水が採用されています。

壁排水は排水方向が横向きである分、床排水より使用する水の量を多くしなければなりません。そのため、従来よりも水量を減らす節水型トイレでは流れにくくなる場合があり、設置を断られるケースがあります。

まずはリフォーム業者に相談し、自宅の排水方式に合ったモデルがあるかどうかを確認しておきましょう。

節水型トイレのリフォーム費用の相場

節水型トイレにリフォームしたい方は「費用がどのくらいになるのだろう」と気になっているのではないでしょうか。

節水型トイレのリフォーム費用は、本体の交換のみなのか、内装工事を行うのかによって異なります。

ここでは、一戸建てとマンションに分けておおよそのリフォーム費用を解説します。

【一戸建て】トイレの交換のみなら「30万円~50万円」

一戸建てでトイレの交換をする場合、交換のみであれば30万円~50万円が目安です。

国土交通省が全国の工務店・リフォーム会社など約40社に実施したアンケートでも、タンクレストイレの交換費用は30万円~50万円と記載されています(※)。

ただし、グレードや機能を抑えたモデルを選べば30万円以下で交換できる場合があるため、業者の見積もりで正確な金額を確認しましょう。

一方で、トイレの交換に加えて床や壁紙の張り替え、窓の設置などを同時に行う場合は、合計で20万円~100万円になる場合があります(※)。

※参考:国土交通省.「リフォームの内容と価格について」

【マンション】リフォーム費用は一戸建てと大きな差はない

マンションで節水型トイレを設置する場合でも、費用相場は一戸建てと大きな差はありません。

ただし、壁排水が採用されているマンションの場合、設置工事が複雑になり追加費用が発生する可能性があります。また、スペースの関係で設置できるモデルが限られる場合も、費用が大きく変動するケースがあります。

リフォーム前に管理規約と配管の状況を確認し、見積もり時に追加費用の有無を確認しておきましょう。

マンション・賃貸で節水型トイレに交換する際の注意点とポイント

マンション・賃貸に節水型トイレを設置する場合、以下の点に注意する必要があります。

  • 管理規約を確認してからリフォームする
  • コンセントの設置費用が上乗せされる可能性がある

管理規約を確認してからリフォームする

マンションや賃貸物件で節水型トイレに交換する場合は、まず管理規約を確認しましょう。マンション・賃貸物件の場合、個人の判断で配管工事を行うことは、原則認められていません。

無断で工事を行うと原状回復を求められて追加費用がかかったり、トラブルにつながったりする可能性があります。

リフォームを検討する際は、管理規約を確認した上でオーナーに相談し、工事の可否や条件を事前に確認しておきましょう。

コンセントの設置費用が上乗せされる可能性がある

トイレ内にコンセントがないマンション・賃貸物件では、新たに電気工事が必要になり、その分の費用が上乗せされます。

節水型トイレは温水洗浄便座や自動開閉などの電動機能を備えているため、電源を確保しなければなりません。電動機能が搭載されていないトイレから節水型トイレに交換する場合は、新たなコンセントの設置が必要になるケースがあります。

リフォームする際は、オーナーに許可を取った上で電源の有無を確認し、見積もりで配線工事の費用がどのくらいか確認しましょう。

節水型トイレの設置に活用できる補助金制度

節水型トイレの設置費用を抑えるには、国や自治体の補助金制度を活用すると良いでしょう。

2025年9月現在、代表的な制度として「子育てグリーン住宅支援事業」が挙げられます。本制度は、2050年カーボンニュートラルの実現を目指して、子育て世帯の住宅の省エネ化を推進するために設けられた補助金制度です。

ドアや窓、外壁、屋根などの工事と合わせて節水型トイレを設置し、申請条件を満たせば、上限60万円/戸(Sタイプ)、もしくは上限40万円/戸(Aタイプ)の補助が受けられます(※)。

その他、自治体が独自に実施している補助金制度もあります。最新情報は、お住まいの自治体のWebサイトでご確認ください。

※参考:子育てグリーン住宅支援事業.「対象要件の詳細【リフォーム】」

節水型トイレで光熱費も掃除の手間も減らそう

節水型トイレの設置で、水道代や電気代の節約に加え、掃除の負担の軽減が期待できます。

初期費用は従来型より高くなる傾向がありますが、長期的に見ればランニングコストを抑えられるため、設置する価値は十分にあります。まずは信頼できる業者に見積もりを依頼し、費用やサービスの質をしっかり確認しましょう。

節水型トイレの導入を検討している方は、年間リフォーム実績1000件以上の住宅設備協同組合にご相談ください。工事後は10年間の長期保証に加え、2年ごとの定期点検も行っています。

各補助金制度のご案内や手続き代行もできるため、まずはお気軽にお問い合わせください。