団地リフォームの費用相場と期間を解説!あえて団地を選ぶメリット・デメリット

団地リフォームの費用はフルリフォームで300万円~800万円、部分リフォームであれば数万円からできることもあります。団地は設備が古く間取りの制限が多いものの、建物の本体価格が低く、中古マンションを買うよりも費用を抑えやすい点がメリットです。リフォームして希望の内装にしたり、好きな家具をそろえたり、余った予算を自由に使えます。

本記事では、そもそも団地とは何か、リフォームの費用相場と期間、団地をリフォームして住むメリット・デメリットを紹介します。

【この記事で分かること】

  • 団地は共同住宅の集合体を指す。管理規約や構造上の問題がなければリフォームもできる。
  • リフォーム費用はフルリフォームで300万円~800万円が相場。しかし、工事内容による差が大きいため、1000万円を超えることもある。
  • 物件価格は安いが設備は古いなど、団地はメリット・デメリットがはっきりしている。事前に十分確認してからリフォームするのがおすすめ。

この記事の著者

住宅設備協同組合

東京、神奈川、大阪、兵庫エリアで年間1000件以上の実績を誇る住宅設備協同組合。神奈川県許認可法人(神奈川県指令企支第3453号)、大阪府許認可法人(大阪府指令経支第1061-28号)。リフォームの専門家として、水回り(キッチン、浴室、トイレ)、和室工事、外壁、屋根まで広く深くをモットーにリフォームに関するお役立ち情報を発信。

団地リフォームとは?

団地リフォーム(団地リノベーション)とは、団地の一室を購入し、リフォームして住むことを指します。

団地の多くは鉄筋コンクリートで作られているため、耐震性が高い特徴があります。また、敷地内には公園があるため、子育て世帯にも適した環境といえるでしょう。

周辺に商業施設が充実していて利便性が高く、さらに中古価格で購入ができることや、レトロな雰囲気が注目され、若い世代を中心に団地リフォームの人気が高まっています。

団地はどのような住宅? アパート・マンションとの違いは?

団地とは、同じ敷地内に建つ共同住宅の集合体を指します。昭和30年代~50年代の高度経済成長期に多く建てられたもので、自治体や公的機関が管理するものが中心です。間取りは2DKが多く、建物の構造は鉄筋コンクリート造が一般的です。

実は、団地・マンション・アパートには、法律上の明確な区分は定められていません。一般的には、3階建て以上の大規模共同住宅をマンション、2階建て以下の小規模な共同住宅をアパートと呼ぶことが多いです。

また、マンションは鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造で建てられることが多く、アパートは木造や軽量鉄骨造が多く使われています。

そもそもリフォームできるの?

団地であっても、管理規約と構造上の問題がなければリフォームできます。

共同住宅の多くは管理規約でリフォームが可能な範囲や内容、業者などが決められています。管理規約に抵触しないリフォームであれば、行っても問題ありません。

ただし、管理規約上問題がなくても、構造上、工事が難しいことがあります。団地の多くは「壁式構造」を採用しており、天井・壁・床の面を使い、箱のように建物を造っていて、柱と梁はありません。

面を使い建物を支えているため、壁を壊して間取りを変更するなど、大がかりなリフォームは難しいです。一方で、壁紙や床材の変更、水回りの刷新、収納や壁を増設するなどの基本的なリフォームはできることが多いです。

【工事別】団地リフォームの費用相場と工期

団地のリフォーム費用や期間は工事内容により大きく異なり、内容によっては工事が難しいこともあります。希望のリフォームがある場合は、業者に見積もりを取って確認しましょう。

全面的にリフォームする場合

基礎や構造部分はそのままで、内装や水回りなどを全面的にリフォームするときの費用相場は300万円~800万円です。想定される間取りは2LDK~3LDK、面積は50m²程度です。なお、50m²よりも広い部屋では1,000万円以上かかるケースも少なくありません。

また、全面リフォームでは、以下の工事をすると費用が高くなる傾向があります。

  • 給湯器を移動する
  • 断熱材を追加する
  • 内窓を取り付ける
  • 間取りを大きく変える
  • 畳からフローリングに変更する
  • ブロック塀に囲まれた浴室を解体する

工期は1カ月~5カ月かかることがあります。

団地を部分的にリフォームする場合

キッチンやトイレなど、団地を部分的にリフォームするときの費用相場と工期は以下の通りです。

工事内容費用相場工期
内装の変更40万円~80万円1日~3日
フローリングの張り替え2万円~6万円(1畳あたり)1日~3日
畳の張り替え4千円~3.5万円(1畳あたり)1日~3日
内窓の設置3万円~15万円1日程度
断熱材の施工4千円~8千円/m²1日~1カ月
間仕切り壁の撤去(補修含む)7万円~23万円/箇所2日~4日
間仕切り壁の設置8万円~25万円/箇所2日~4日
トイレのリフォーム10万円~55万円1日~2日
洗面所のリフォーム10万円~60万円1日~4日
浴室のリフォーム50万円~150万円2日~1週間
キッチンのリフォーム40万円~250万円2日~1カ月
間取りの変更300万円~600万円半日~2週間

部分的なリフォームの場合でも、壁紙や床材の材質、キッチン・トイレ・浴槽のグレードなどによって、かかる費用は大きく変動します。予算内でリフォームを進めたい場合は、どこを優先するかを決めてから進めるのが良いでしょう。

団地リフォーム費用を安くする6つのポイント

団地のリフォーム費用を安く抑えるポイントは、以下の6つです。

  1. 部分的にリフォームする
  2. 優先順位をつけてリフォームする
  3. 既存設備を有効活用する
  4. 団地リフォームが得意な業者に依頼する
  5. 見積もりは複数社に依頼する
  6. 補助金・助成金を活用する

以下でそれぞれ解説します。

1. 部分的にリフォームする

施工範囲が広かったり、工期が長かったりすると、費用が高くなる傾向があります。また、複雑なリフォームで作業工数が多くなる場合も、工事費がかさみやすくなります。そのため、費用を抑えたい場合は、施工範囲を絞り、比較的単純な方法でリフォームするのがおすすめです。

2. 優先順位をつけてリフォームする

あらかじめ優先順位をつけ、妥協できるポイントをまとめておくと、リフォーム費用を予算内に納めやすくなります。

まずは、こだわってリフォームしたい場所を1カ所~2カ所選び、その中でも特に譲れないポイントを明確にしましょう。例えば、壁紙や床は妥協できるが、ブランドにはこだわりたい、といった希望です。

まず優先順位を決めてリフォームを進め、予算に余裕が出た場合は、後から追加で他の箇所もリフォームするのがおすすめです。

3. 既存設備を有効活用する

あまり傷んでいない設備を有効活用することで、リフォーム費用を抑えることができます。例えば、タイルのキッチンパネルや窓ガラスはそのまま残し、壁紙や床材だけを新しくする、などです。

故障の心配があまりない設備は、そのまま活用すると昔ながらの雰囲気を楽しめるためおすすめです。

4. 団地リフォームが得意な業者に依頼する

リフォームは共同住宅や団地の施工実績が豊富な業者に依頼しましょう。一口にリフォーム会社といっても、得意とする建物の構造や、工事内容には大きな違いがあります。

団地のリフォーム実績が豊富な業者であれば、相場で希望のリフォームができる可能性が高いです。実績はWebサイトの他、口コミサイトを見てもよいでしょう。

5. 見積もりは複数の業者に依頼する

見積もりは、複数の業者に依頼しましょう。業者同士を比較できるため、相場の見積もりから大きく外れた業者を避けられます。さらに、競合他社がいることで、契約時に有利な条件を提案される可能性も高くなります。

複数の業者からの見積書がそろったら、合計金額だけでなく、明細や商品の質、サービス内容も確認しましょう。例えば、合計金額が同程度であっても、ある業者は10年間無料の設備点検を提供している場合には、その業者を選ぶことで、長期的なコストを抑えられる可能性があります。

6. 補助金・助成金を活用する

リフォームの内容によっては、国や地方公共団体が実施する補助金や助成金を利用できることがあります。特に、以下のリフォームは助成対象となりやすいため、行政機関やリフォーム会社に確認してみましょう。

  • 介護やバリアフリーを目的としたもの
  • 省エネや創エネ、エコを目的としてもの
  • 耐震補強を目的としたもの

減税対象のリフォームを実施すれば、直接的な費用軽減にはならないものの、所得税や固定資産税から控除を受けられます。

団地をリフォームして住むメリット

団地リフォームには以下のようなメリットがあります。

  • 建物価格を抑えて好きな内装にできる
  • 古くても耐震性が高い
  • 広々していて緑が豊か
  • 生活環境が整っていることが多い

それぞれ解説します。

建物価格を抑えて好きな内装にできる

団地の多くは築年数が40年以上の中古物件です。購入時は建物価格を大きく抑えられるため、その分の費用を内装や設備のリフォーム、家具や家電の購入に充てられます。同じ立地であれば、中古マンションを購入するよりも安く済むことが多いです。

また、賃貸でも、礼金・仲介手数料・保証料が不要な団地もあるため、家賃を安く抑えられる傾向にあります。

古くても耐震性が高い

先述の通り、団地の多くは面で構造を支える「壁式構造」を採用しているため、古くても耐震性の高い物件が多いです。さらに、1981年6月以前の旧耐震基準で建てられた団地の9割以上で、耐震補強工事が行われ、現在の耐震基準に達しています。

購入を検討するときは、事前に耐震調査を行うと、より明確に耐震性能を確認できます。

広々していて緑が豊か

団地は建物と建物の間を広く取っているため、圧迫感が少ないです。さらに、同じ方向を向いて建てられているため、近隣の住人と窓越しに目が合うこともなく、十分な日光が室内に差し込みます。

団地内には遊歩道や公園などの緑地が設備されており、主要道路とも離れています。そのため、騒音が少なく、落ち着いて過ごせる点も魅力です。

生活環境が整っていることが多い

団地周辺には、商店街やスーパー、銀行、病院、学校などの生活に必要な施設が一通りそろっていることが多いです。これは、団地が建設されたときに、そこに暮らす人々の生活を支えるために商業施設が併設され、それらが発展してきたためです。

現在も活気のある団地は利便性が高く、一人暮らしの方や子育て世帯の方も住みやすいでしょう。さらに、交通の便が良いことも魅力の一つです。

団地をリフォームするときの注意点

団地のリフォームでは以下の点に注意が必要です。

  • 理想の住まいを実現できないことがある
  • 想定外の費用が生じることがある
  • 設備の老朽化が進んでいる
  • エレベーターのない団地も多い
  • 住人同士の距離が近いことがある

それぞれ解説します。

理想の住まいを実現できないことがある

記事前半でも解説した通り、団地は管理規約や構造上の問題から、予算があっても理想の間取りを実現できないことがあります。例えば、お風呂の追い焚き機能のように、駆体の壁に配管を通す穴を開ける工事などは難しい場合が多いです。

購入前に団地リフォームにはどのような制限が出やすいか調べ、現地でも確認するのがおすすめです。

想定外の費用が生じることがある

団地の多くは、共用設備や防犯設備が充実していません。また、リフォーム中に、表には出ていなかった配管や断熱材に問題が見つかることもあります。

後から変更や改修が必要になった場合、当初の想定よりも費用が多くかかる可能性があります。

設備の老朽化が進んでいる

団地では、水回りや電気系統などの老朽化が進んでいることが多いです。そのまま放置すると、水の濁りや突然の停電など、さまざまなトラブルにつながる可能性があります。

団地では、専有部分の配管工事は所有者が自己責任で行う必要があるため、十分な注意が必要です。

エレベーターのない団地も多い

5階建て以下の団地は、エレベーターがないところも多いです。そのため、階段での上り下りが必要になり、特に幼い子どもがいる家庭では大きな負担となる可能性があります。さらに、高層階に住む場合、自分が高齢になったときのことも考える必要があります。

住人同士の距離が近いことがある

団地の自治会では、お祭りなどのイベントを企画していることもあります。また、団地内の公園では、特に子育て世帯がよく顔を合わせる場面が多いでしょう。

人付き合いが多いことを煩わしく感じる場合、住人同士の距離が近い団地では住みにくいと感じることがあるかもしれません。

住みやすい団地を見つけてリフォームするのもおすすめ!

団地は古いイメージが強いものの、現在では耐震性の高さや購入価格の低さ、周辺の利便性から価値が見直されつつあります。注意点はあるものの、購入費用を抑え自由にリフォームできる部分が多いため、理想の住まいを実現する方法の一つとしておすすめです。

住宅設備協同組合では、リフォーム・リノベーション、部分リフォームまで幅広く対応しています。また、補助金の手続き代行やアフターフォローにも力を入れているため、リフォームにかかる手間を削減できます。リフォームをお考えの方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。