蓄電池はやめたほうがいいって本当?

「蓄電池はやめた方がいいって本当?詳しい理由を知りたい」などと思っている方はいますか?
蓄電池は、太陽光発電や電力会社から供給される電力を保存できる便利な機器です。

今回は、蓄電池のよくある後悔や設置をおすすめできる人の特徴、メリットデメリットを徹底解説します。

この記事の著者

住宅設備協同組合

東京、神奈川、大阪、兵庫エリアで年間1000件以上の実績を誇る住宅設備協同組合。神奈川県許認可法人(神奈川県指令企支第3453号)、大阪府許認可法人(大阪府指令経支第1061-28号)。リフォームの専門家として、水回り(キッチン、浴室、トイレ)、和室工事、外壁、屋根まで広く深くをモットーにリフォームに関するお役立ち情報を発信。

蓄電池のよくある後悔するポイント8選

ここでは、実際にあった蓄電池でよくある後悔を詳しく解説していきます。

設置費用が高額

蓄電池の導入には高額な費用がかかり、費用対効果が懸念されます。

価格は容量や機能によって異なり、高機能で大容量のものは200万円以上になることもあります。

しかし、国や地方自治体がエコ関連機器を普及させたいため、補助金を利用することで導入費用を削減できる場合もあるため、検討する価値があります。

こちらの記事では、リフォームに最適な補助金であるこどもエコすまい支援事業について解説しています。

こどもエコすまい支援事業とは?国の補助金制度について解説

メンテナンス費用がかかる

蓄電池の定期的な点検や故障に備えて、メンテナンス費用がかかることがあります。ただし、通常は保証期間内であれば、交換や修理にかかる費用は心配しなくても良いです。

蓄電池は長期的な運用を意図して作られており、頻繁な故障はまれです。しかし、保証期間の終了や、メーカーが推奨しない取り付けや使用方法をした場合には、保証の対象外となり、費用がかかる可能性があるため、注意が必要です。

思ったより電気代が安くならない

蓄電池を導入しても、生活スタイルや電気料金プランによっては、予想よりも電気料金が大幅に削減されないことがあります

蓄電池は太陽光発電からの余剰電力や安い深夜電力を貯める仕組みであり、電気代の節約にはプランの選択も重要です。

現在の料金プランが電力使用量に応じて課金される従量電灯プランである場合、電気代が高くなる可能性があるため、蓄電池導入前に料金プランの見直しを検討することが重要です。

太陽光発電の発電量が下がる可能性がある

蓄電池の導入により、太陽光発電の発電量が減少する場合があります。これは、蓄電池と太陽光発電が一体化したハイブリッド型のパワーコンディショナ(パワコン)を使用する場合に起こり得ます。

ハイブリッド型パワコンは、太陽光発電と蓄電池の電力を同時に管理するため、電力の過負荷が発生し、発電効率が低下する可能性があります。

また、太陽光発電の既存のパワコンをハイブリッド型に交換する際に、互換性の問題や施工不良が発生すると、発電量の減少につながることがあります。

ハイブリッド型パワコンを導入する場合は、太陽光発電との適切な組み合わせを検討し、信頼性の高い施工業者を選ぶことが重要です。

設置スペースが必要

蓄電池を設置するには、それに適したスペースが必要であり、特に大容量の蓄電池を導入する場合、適切なスペースを確保することが不可欠です。

また、蓄電池の設置スペースには、作業員がメンテナンスできる十分な広さも必要です。

さらに、蓄電池の設置場所はメーカーによって指定されており、自宅の環境に応じて制約があるかもしれません。そのため、蓄電池を導入する前に、設置条件やスペースに関する要件を事前に確認することが重要です。

電気自動車の方がコストパフォーマンスが良い

蓄電池よりも容量の大きい電気自動車が、コストパフォーマンスが良い場合があります。

電気自動車もリチウムイオン電池を使用し電力を貯められるため、蓄電池の代替として機能可能です。しかし、蓄電池の容量は最大で16kWh程度であるのに対し、電気自動車は20kWh以上の容量を持つことが多く、価格も比較的競争力があることから、コストパフォーマンスが良いと感じる人もいるかもしれません。

ただし、電気自動車は停電時や自宅にいない場合、V2H(Vehicle-to-Home)が設置されていない場合には自宅への電力供給が難しい点に留意する必要があります。

寿命の懸念

蓄電池には「サイクル数」という寿命が存在し、これに懸念を抱くこともあるでしょう。

サイクル数は、リチウムイオン電池の充放電サイクルが0%→100%→0%となる回数を指し、「1サイクル」として計算されます。一般的な蓄電池のサイクル数は約6,000から12,000回であり、単純な計算で言えば、1日に1回充放電を行った場合でも約16年間使用できることになります。これは電気自動車にも当てはまる寿命の指標です。

ただし、蓄電池を1日に2回以上充放電したり、メーカーの推奨事項に従わずに使用したりすると、劣化が進み、寿命が短くなる可能性があることに注意する必要があります。

蓄電池を導入する際には、適切な設置場所や正しい使い方に注意し、できるだけ長く利用できるよう心がけることが大切です。

悪質な業者に注意

蓄電池を販売する業者には、相場よりも高額な費用を請求したり、経験不足による施工不良などのトラブルが発生することもあるため、不安を感じることがあります。

ほとんどの業者は信頼性がありますが、中には悪質な業者も存在し、高額な価格を主張する可能性があります。安すぎる価格も手抜き工事や問題を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

悪質な業者を避けるためには口コミや実績、適正な価格設定、顧客対応などを総合的に評価し、慎重に判断することが大切です。

こちらの記事では、評判の悪い業者の特徴や良い業者の見つけ方を詳しく解説しています。

評判の悪いリフォーム業者の特徴を解説|良い業者の選び方も紹介

蓄電池の設置をおすすめしたい人

ここでは、ご家庭に蓄電池の設置をおすすめする人の特徴を紹介していきます。

電気代が高くて不満を持っている

現在の高騰する電気代に不満を抱く人にとって、家庭用蓄電池の導入をおすすめできます。日本全体で電気料金が高騰しており、その要因は主に燃料調整費の上昇と再エネ賦課金の増加によるものです。

日本は火力発電に依存しており、国際的な資源価格の変動や燃料調整費の増加により電力会社はその負担を家庭に転嫁しています。さらに、再エネ賦課金も電力料金を押し上げており、この制度は再生可能エネルギーの普及促進を目的としています。しかし、再エネ賦課金は電力使用量に応じて課金され、2022年時点で1kWhあたり3.45円(税込)に達しており、今後も増加する見込みです。

このような状況下で、家庭用蓄電池の導入は電気代の削減に効果的です。再エネ賦課金の支払いを削減するためにも、蓄電池は効率的な解決策となります。

太陽光発電の設置を考えている

家庭用蓄電池は、家庭用太陽光発電システムと組み合わせて使用することで効果を発揮します。

太陽光発電システムが昼間に発電する際には、電力会社からの電力購入が不要となり、電気代を節約できます。しかし、太陽光発電が行われない夕方以降には電力会社からの電力購入が必要です。

家庭用蓄電池があれば、昼間に貯めた電力を夕方以降に利用することで電気代を削減できます。

また、家庭用太陽光発電システムを設置してから10年以上が経過すると、売電価格が低下する可能性があります。この場合、電力会社に売電せずに家庭用蓄電池を使用して自家消費する選択肢が増えます。

また、太陽光発電システムのパワーコンディショナーは10年ごとに交換が必要となるため、ハイブリッド型蓄電池を導入することで古いパワーコンディショナーを撤去し、新しいものに置き換えることができます。ただし、太陽光発電システムが10年未満の場合は、別途家庭用蓄電池用のパワーコンディショナーを設置する必要があります。

災害時や万が一の備えが必要

家庭用蓄電池の主なメリットは、電気代の節約と災害時の非常用電源としての利用です。

自宅に家庭用太陽光発電システムがある場合、発電された電力を非常用電源として活用できます。夕方以降や停電時に、家庭用太陽光発電システム単独では供給できない電力を家庭用蓄電池から供給できます。

一般的な家庭用蓄電池は、家庭用太陽光発電システムの余剰電力や安価な深夜電力を蓄え、通常の電力供給が途絶えた場合に1日から2日分の電力を提供できます。これにより、停電時でも家中の電化製品をバックアップできます。特に全負荷型の家庭用蓄電池は、エアコンやIHなどの200V電化製品も利用可能です。

特定負荷型の家庭用蓄電池は、あらかじめ指定された部屋の電力供給に限定されますが、その部屋で長期間にわたって電力を利用できます。

蓄電池のメリットとデメリット

ここでは、蓄電池のメリットとデメリットそれぞれを解説していきます。

メリット①:電気代が安くなる

電気代を削減するためには、深夜の電力価格が低いプランに切り替えることがおすすめです。

深夜に電力を蓄積し、高い単価の昼間に使用することで、電気代の節約が可能です。

既に太陽光発電システムを導入している場合、発電した電力を蓄電池に貯め、昼間に利用し、余剰電力は夜間や朝方に使用することで、昼間の高単価電力の購入を回避できます。

メリット②:災害・非常時に活用できる

蓄電池は停電時に電力供給を行う重要な機能がありますが、2つの主要な型があります。

  1. 全負荷型は、停電時に家全体の電力供給を補うことができます。
  2. 特定負荷型は、あらかじめ指定した部屋やエリアにのみ電力供給し、他の部屋では使用できません。

全負荷型は家全体をサポートできるが、大容量の蓄電池が必要で高価です。特定負荷型は容量を抑えられるため比較的価格が安く、特定のエリアに電力供給する必要がある場合に適しています。選択肢は使用ニーズと予算に応じて考慮すべきです。

デメリット①:使用量が限られる

蓄電池の容量によって、貯められる電気の量が異なります。

小型の蓄電池は容量が制限されており、使った分だけ電力が減少します。したがって、緊急時に備えて適切な容量を選び、家庭の電力使用量に合った蓄電池を選択することが重要です。大容量の蓄電池も利用可能ですが、コストが高くなります。

デメリット②:充放電回数に寿命がある

蓄電池もスマートフォンのバッテリーと同じように、経年劣化が起こり、一定の充放電サイクル回数を超えると蓄電容量が減少します。

メーカーによる保証期間や充放電サイクル回数を確認し、長期間効果的に使用できる製品の選択が大切です。

デメリット③:設置スペースが必要

近年、リチウムイオンバッテリーの小型化が進みましたが、蓄電池はまだまだ大きいため、設置するには一定のスペースが必要です

蓄電池のサイズは容量により異なりますが、一般的な空気清浄機と同程度のスペースが必要で、設置場所は高温や低温になりすぎず、結露しない環境が望ましいです。

また、メーカーによっては屋内または屋外に設置する条件が異なります。蓄電池を長期間使用するために、設置場所について事前に調査しておくことが重要です。

蓄電池の設置まとめ

蓄電池は設置費用やメンテナンス費用がかかったり、思っていたより電気代が安くならないなど、よくある後悔がたくさんあります。しかし、災害時や非常時などの万が一の事態のときや、深夜に電気を貯めることで電気代を節約できるなど、メリットもたくさんあります。
本記事を読んで、ご自身・ご自宅に合っていると感じたら蓄電池の設置を行いましょう。